自分の‶木”を育てよう。
“新しいカタチの学びの場”を提供し、社会の中で自立して生きていくための人間力を育みたい。このような「想い」を持ち、エンカレッジコースは教育を一から手づくりしています。
四季折々に変化する豊かな自然。ここには、「場の力」があります。だからこそ、本来人間に備わっている個性や感性を、充分に引き出してくれます。私たちは、この自然の持つ力を最大限利用しながら社会的な自立を目指すために、次の3つの力を育むことを大切にしています。
そして、すべての教育プログラムに息づいている「3つの学びの柱」が、生徒一人ひとりの “自立”を後押しします。
今日の学校教育の中で、心ならずも中途で挫折してしまった人や、その場にいても積極的に学びに参加できずにいる人たちに必要な学びはなんでしょうか? 私たちは、3つの観点からその内容を考えました。これらの学びは、エンカレッジコースで行われるすべての学習活動の根底に流れているものであり、1つの活動の中に常に3つの学びが息づいています。
エンカレッジコースは、自ら学び、考え、想いをカタチにしていく力を育みながら、「学びの知恵」と「つながり」を育む学校です。
様々な経験を積み重ねることで、自信をつけ、自分らしい人生を歩み出します。
エンカレッジに入学する以前の私は、心身共に身体のバランスを崩し、教室に入ることができなくなり、言わば暗いトンネルの中を1人で歩いているような、そんな感覚でいました。そんな私にとってエンカレッジは暗闇に差し込んだ一筋の光のようで「ここでなら自分らしく頑張れる」そう感じさせてくれる場所でした。
とはいえ、入学後は苦労することも多くありました。自由度が高い校風が故に、一人悩み込んでしまったり、周りに合わせようとするあまり自分の気持ちや意思を軽んじてしまうことも多々ありました。ただ、どんな時も親身になってくださった先生方やお互いを理解し合える友人と出会えたことで、少しずつ自分のペースで歩いて行けるようになりました。
そんな私はエンカレッジの総合的な学習科目であるキャリアデザインⅢで、自己肯定感についての探究を行いました。自己肯定感の本来の意味である「ありのままの自分を受け入れる感覚」を持つことは、自分にとってはとても難しいことでした。周りと見比べると常に劣等感、不安感に苛まれ、自信を失い、自分という存在をうまく理解できない状態でした。もちろんこの探究を経ただけで、自分自身を完全に理解できたわけではありません。ただ自分にとっては大きな気づきを得ることができた探究でした。
エンカレッジにはコミュニケーションを苦手とする生徒や、私と同じように過去に傷を抱えている生徒、登校することすら難しく、孤独を感じている生徒など、本当にさまざまな生徒が在籍しています。他校と比べると、違うことだらけで、まるで理解されない独特な部分もあるのかもしれません。ですがエンカレの生徒一人一人にはそれぞれ違った素晴らしい個性があり、お互いを受け入れ合う穏やかな雰囲気があります。
多様性が叫ばれる現代において、エンカレは重要な役割を担っているのではないかと私は感じます。一人一人が「自分」という存在を尊重し、「仲間」を尊重できる、そんな学校であり続けてほしいと思います。
(令和3年度卒業生代表 答辞より抜粋)
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